始まりの日〜The blue sky in fantasy village

気がつけばそこは見知らぬ場所。
見た事も記憶にもない場所。
何故自分がそんな脳の奥底にも無いような場所にいるのか見当も付かない。

「…?」

そもそも自分は誰なのか?
それすらわからない。
むしろ、どうでもいいと感じてしまう辺り、本当にどうでもいいのだろう(よくはないが)。

「…」

辺りを見回す。
すると、大きな建物が視界に入った。
木造の古い雰囲気を醸し出している神社だった。

「…」

自分が誰なのかさえもわからない上にこれからどうすれば良いのかわからないので、とりあえずその神社に向かった。

見た感じ…かなり廃れている。
お参りする人がまるでいない様だ。

「……」

賽銭箱に目が行く。
これもまた誰も何も入れて無さそうだった。
ここには神頼みという概念が無いのか、または神様仏様がいないのか。
そもそも来る人がいないのかどうかわからない(むしろどうでもいい)が、とりあえず自分の服に着いてるポケットの中を探った。

「…」

狙ったかのように硬貨が一枚入っていた。
それを箱に向かって軽く投げた。

カンッ

…弾かれた。
どうやらこの賽銭箱はそもそも銭を受け入れない仕様らしい。

「…」

本当にどうでも良くなってきた上に何だか虚しくなってきたので、とりあえずその場から離れることにした。

?「ちょっと…今、賽銭入れようとしたの、アンタ?」

「?」

いきなり誰かに話し掛けられた。
頭に大きなリボンをした巫女だった。
…ズケズケと歩いてくる辺り、そうには見えなかったが、服装が巫女なのでそういう事にしておこう。

?「…アンタ、今失礼な事考えてなかった?」

勘は良いらしい。

?「ありがとね。最近お賽銭入れてく人、いなかったのよ。…本当に困るわ」

「…」

神社での生活も大変だなと思った。
お礼を言われて悪い気はしないが。

?「ところでアンタ、見掛けない顔ね」

こっちも言いたい。
そもそも見掛けるどころか会った事もない。

「…」

どう答えて良いかわからないので、とりあえず何も言わなかった。

?「…無視?」

不満を言われた。

?「名前は?」

「…わからない」

?「へ?冗談でしょ?」

「…」

冗談でこんな事は言わない。
素性がわからない、名前もわからない人がこんな冗談なんて言えない。

「…本当にわからない。今まで何をしていたのか。何故ここにいるのか。そして、君が誰なのか」

霊夢「私は博麗霊夢。…記憶喪失ねえ…まあ、この幻想郷じゃあ何が起きてもおかしくないけど」

「幻…想…郷…」

霊夢「?何か思い出したの?」

「…いや」

あたかも幻想。
見るもの幻想。
自分はこの世界でそんな幻想の一つのようだ。

霊夢「?そのポケットに入ってるの…術符?魔理沙辺りは゛スペルカード″って言いそうだけど」

「スペルカード?」

言われてみれば確かに三枚のカードみたいな物がポケットから頭を出している。
描いてある絵柄は゛風″゛雷″゛炎″だった。

霊夢「ひょっとしてスペルカードの使い方も忘れてる?」

「…ああ」

霊夢「…しょうがないわね。私が教えてあげる。まずどれでも良いから手に取って」

「…(風のカードで良いか)」

霊夢「そしてそのままカードに念じれば出来る筈よ」

「念じる…」

風をイメージする。
渦巻く風、嵐、全てを吹き飛ばす脅威。
その時、周囲に青い複雑な文字で構成された陣が発生した。

「これは…」

霊夢「それが゛スペル・オン″。スペルカードの力が引き出された状態よ。そのまま…あの遠くにある石に向かって゛攻撃する″というイメージを働かして」

「…」

イメージ…イメージ…。
次の瞬間、自分の体の中心からいくつもの風が゛吹いた″。

「っ」

そして風は吹き、石の方へ吹いて、石を切裂いた。

霊夢「きゃ!」

石の細かな破片が飛んでくる。
とっさに霊夢を庇った…のがいけなかった。

「う…」

少し大きめの破片が丁度頭に直撃した。
痛みに堪え、少し経ってからなんとか衝撃は収まった。

霊夢「あ、危ないわねえ…アンタ、随分……って…」

「…すまない」

霊夢の肩にまわしていた手をほどき、離れた。
するとその時…。

「…!?」

頭の中で声が響いた。

?「(汝…力を得たり……残る力…盾と鎧……盾は汝の身に迫る弾幕を跳ね返す力……゛アクティブシールド″…鎧は汝の身に迫る弾幕を吸収し、吸収した力によって相手に返す力が変わる……゛リフレクトアーマー″…忘れることなかれ…汝には更なる力の息吹きが吹かれり…様々な事象をきっかけとし……力を得よ……さすれば、汝…何者をも超える力を得たり…)」

…声がしなくなった。

「(何だ今のは…。つまり、盾は弾幕とやらを跳ね返す力があって…鎧は弾幕を吸収し、吸収した弾幕の量によって相手に返す力も変わるという事か…)」

霊夢「…え。ねえ、どうしたのよ」

「…いや…う…」

霊夢「どうしたの?」

「…ついさっき、頭を打ったのが直接の原因かどうかわからないが…自分の名前だけ思い出した。…名前は…」

「咲…だ」

霊夢「咲、ねえ」

「それしか思い出せない。他はわからない」

霊夢「まあ、でも、名前だけでも思い出せたんだから良い方じゃない」

「ああ…」

霊夢「それで、アンタはこれからどうするの?」

「…」
選択肢
①わからない
②その辺を歩いてみる
③近くを彷徨う
④お世話になる事はできないだろうか

①を答える(そのまま)
②を答える(佇む紅の城と知識の大図書館へ)
③を答える(不思議な国の鬼ヶ島へ)
④を答える(神々の黄昏編へ)

これはコメントで答えてみて下さいw